看護師不足が深刻化
日本では高齢化が加速し、医療ニーズが急増しています。その一方で、医療従事者の採用は困難な状況が続いています。特に看護師不足が深刻化しており、早急な対応が求められています。
医療従事者が不足している背景には、複数の要因が絡んでいます。まずは、高齢化によって医療サービスの需要が増加していることです。2021年8月時点の有効求人倍率を見ると、「医師・薬剤師等」は2.55倍、「保健医療サービス(看護師含む)」は2.73倍と、平均の1.19倍を大きく上回っています。それでも、医療現場の人材需要にはまだ追い付いていないのが現状です。特に看護師は離職率が高く人材の確保が難しいため、医療現場では安定した人員体制の維持が大きな課題となっています。
高齢化により需要が増加
看護師不足の最大の要因は、急速な高齢化による医療ニーズの拡大です。2005年に20%を超えた高齢者人口の割合は2021年には29.1%に達し、今後も増加していくことが予測されています。高齢者は若年層に比べて医療サービスの利用頻度が高く、現場の負担は年々増しています。看護師の資格を持つ人も増加していますが、それでも現場の人手不足は解消されていません。なぜ解消されないのか、その背景を見ていきましょう。
職場環境の厳しさと離職率の高さ
看護師の離職率が高い理由の1つに、過酷な勤務条件が挙げられます。夜勤や休日出勤が多く、勤務時間が不規則なので、身体的・精神的に大きな負担がかかります。こうした環境で仕事を続けていくのは非常に難しいため、さらに人手不足になる、という悪循環が続いているのです。
また、看護師の約9割が女性であることから、結婚・出産・育児などのライフイベントの変化による退職も少なくありません。
コロナの影響もある
2020年以降、新型コロナウイルスの影響により医療ニーズが急激に高まりました。一方で、説明会や病院見学会の中止が相次ぎ、採用活動の機会が制限されたことで、看護師の採用数はコロナ禍以前と比べて減少傾向にありました。その結果、現場の業務負担が増え、精神的・身体的なストレスによって離職する看護師も多く、慢性的な人手不足が続く一因となっています。
今後の課題と対応の方向性
高齢化による医療需要の増加は今後も続くと予測されており、看護師不足の解消には抜本的な対策が必要です。そのためにも、看護師が安心して働ける環境を整えることが重要です。職場改善や働き方の柔軟化、地域医療との連携などがカギとなるでしょう。
